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日職場でいつもはドッシリ構えている男が妙にソワソワして汗だくだった。
汗だくなのはいつものことだが、その常道を逸したソワソワは、いまだかつて見たことがないものだった。男は自分の信念を、武士道を曲げるべきかどうか悩んでいたのだ。
何かを愛するということ、そしてその愛の対象へは、頑なに謙虚でいること、声高に愛を叫ばないこと、それが何かを愛するものの礼儀なのだ、(ことごとく振られた経験から導き出された)武士道なのだ。
しかし今日が愛するものとの、永遠の別れになるかもしれないのだ。
男は意を決して、ジャケットを脱ぎ捨て T シャツになり、勢いよく、吉野家に入っていった。
イラブ牛丼!
「済みません、たった今売り切れです」
「・・・」
男の T シャツは冷や汗で見る見るうちに色が変わっていった。 |
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